zakisan's blog

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利用者はお金を払いたくない訳ではない。アプリ収益化のタイミングについての考察

Pomodoroテクニックという言葉を聞いたことはありますか? http://pomodorotechnique.com/

photo by Jack Zalium

Pomodoroテクニックとは、あなたが何かに取り組む時間を細かく区切って、 25分集中しては5分休む、25分集中しては5分休む、というのを繰り返すテクニックです(最近知りました)。

私は現在、自分でタイムマネジメントをしなければいけない環境に身を置いているので(ニューヨークのプログラミングキャンプに参加中 ) 試しにこのテクニックを使って自分の時間を管理しています。まだ始めたばかりなのですが、結構良い感じです。

さて、この記事で書いてみたいのは、このPomodoroテクニックそのものではなく、 PomodoroテクニックをPC環境で実践するためのアプリを探したときに気づいた「アプリの収益化のタイミング」についてです。

今回話題にするのは、数あるPomodoroテクニックアプリの一つ、「Pomodoro Time」というものです。シンプルなインターフェースなこと、何より無料なことに惹かれて使い始めてみたのですが、その収益化の仕方が良いなぁと思ったので気づいたことをここに記します。

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みんな、有料と無料のチョイスが与えられたら、とりあえず無料を試してみますよね。 でも、みんながみんな無料でサービスを使い続けているだけだと、開発者はとっても悲しい。 一つの使いやすい美しいアプリをつくるのは、それがどんなに簡単なものに見えたとしても、とても難しいものです。

開発者にとってお金は全てではないにせよ、収益という形でリターンがもらえれば、そのアプリやサービスの持続可能性は高まります。

それでは、どうやってこの利用者と開発者のお金のズレを一致させられるのでしょうか?

私が考えるのは、「利用者にはお金を払いたいタイミングがある」ということです。 つまり、利用者は必ずしもずっと無料でサービスを使い続けたいわけではなく、もし 「適切なタイミングで、リーズナブルな範囲で」お金を払うというオプションが用意されていたら、お金を払うことに抵抗はない、ということです。

Pomodoro Timeアプリを例にあげます。

まず、Pomodoro Timeアプリに遭遇したときの利用者の心理は、 「自分の時間管理をよりよくできるアプリはないかな」といった感じでしょうか。

この時点では、私は自分が探しているものにお金を払う気持ちは全くありませんでした。 「自分の時間管理をしたい」という欲求は、お金を使っても良いと思えるような大きなものではなく、 「なにか使えるものが転がっていないかな」くらいの気持ちだったからです。

反対に、この時点でもうお金を払う準備ができているような類の探し物もあるでしょう(ビジネス効率化のサービスを探している担当者の場合とか)。

しかし、Pomodoro Timeを使い始めてみて、「あ、これは本当に自分の時間管理を助けてくれているな」と感じるタイミングがやってきました。 この時点で、お金を払う心理的障壁はかなり下がっています。 自分の生活をすでによりよくしてくれているものに対して「少しのお金を払っても良い」というのは、 お金の使い方としてより正当化できるものです。

この時点で、利用者、私の心理は変化しています。 そこで必要なのは、その心理的障壁が下がったことにマッチする追加機能の提供(とそれを伝える通知メッセージ)です。

Pomodoro Timeアプリの場合は、 350円を払うことで Pomodoro Time Proにアップグレードでき、その追加機能は

  1. MaciPhoneアプリのPomodoroの累積回数/タスク管理の同期
  2. 広告の非表示

というものでした。

これは、Pomodoro Timeは自分の時間管理に役に立っている、と感じ始めたユーザー、私にとって、とても納得が行く「お金を払うタイミングの提供」でした。

なぜなら、Pomodoroテクニックがうまくいき始めていると感じ始めた利用者にとって、このテクニックを生活の隅々で使いたい、というのは自然な欲求だからです。 その時点で、1. の追加機能が示されることで、私は「あ、350円だったらお金を支払っても良いな」と説得されました。少額かもしれませんが、この350円の支払いを利用者が納得いく形で伝えるのはとても難しいことです。

まとめます。

  1. 利用者はお金を払いたくない訳ではない。利用者がお金を払っても良いタイミングはどこなのかに目を向けよう。
  2. 利用者が価値を感じ始めた欲求の延長線上に追加機能があるかどうか考えよう。

あなたが次に何かの収益化を考えるときに、この記事が参考になれば幸いです。

謝辞

下書き状態で記事を読んでフィードバックをくれたMasaki Nakadaさん、Yuta Igarashiさん、ありがとうございます!